森口先生のコンピューター講座とフォートラン
-
中学校の頃だったか、NHKで「森口先生のコンピューター講座」とかいう番組を見ていたので、フォートランなるものが、どういう感じのものであるかは知っていた。でも、その頃、コンピュータは、ともかく高価なもので、高校性が趣味の道具に使うなんてとんでもない、という感じがしていた。それが、田舎の工業高校にまでコンピュータが入り、フォートランが使える時代になってしまっていたわけだ。
さっそく、フォートランで軌道計算のプログラムを書いて、コーディングシートに清書して、例の知り合いに渡す。期待して待っていたが、返って来たのは軌道表ではなく、「エラーだらけで、手も付けられない」という返事だった。
標準フォートラン(JIS7000)の文法書まで買って何度も念入りにチェックしたのに、そんなはずはない....というのは甘かった。彼の使っていたミニコンのフォートランはJIS3000準拠で、しかも方言だらけの変なもので、私のプログラムの先頭にあった
IMPLICIT INTEGER A-Z からして Syntax Error になっていた。彼に頼めるのは、リスト通り打ち込んで実行する、それだけである。その方言の文法書がない限り、これはもう、お手上げである。
この頃の目的はコンピュータを使うことではなく、コンピュータという道具を使ってもっと無線を楽しみたいというところにあった。しばらくは、買ってもらったばかりの関数電卓をたたき続け、オスカー通信や他の無線の楽しみに浸ることにしよう。
この頃、デジタル回路なるものにも少し興味が出てきた。中学の時、日本橋で買ってきた部品取り用のジャンク基板に、RTL なるロジック IC が載っていて、これを使って
AND や OR 回路で遊び始めた。その後、TTL や出たばかりの CMOS 4000 シリーズなども買い込んで、いろんなものを作った。最初の頃、J/K
FF の動作が理解できなかったが、エレキーを設計したとき、その便利さが身にしみた。
半導体メモリーが、部品屋に並びだしたのもこの頃だったと思う。intel 2102 というのを1個買って、無線コンテスト用のメモリーキーヤーというのを作ってみた。8種類のメッセージが記憶でき、コンテストの決まり文句をキープッシュひとつで送信できるという便利な道具だ。ただし、タイミング設計が甘かったようで、ときどきメッセージの書込みに失敗して、他のメッセージまで壊してしまう。また、スタティックメモリーとはいえ、バックアップしているわけではないので、電源を切るたびにメッセージを入れ直さないといけない。まだまだ改良の余地はあるが、当時、デジタルIC
は結構な値段で、基本的なゲートICでも200円ぐらい。月に1,000円とか2,000円のお小遣いでは、上等な IC には手が届かない。
デジタル回路もある程度理解できるようになってきた。森口先生の口座でも、最初の頃には AND や OR 回路の説明があって、これをこう組み合わせると1ビットの加算器ができます、それをたくさん並べると8ビットや16ビットを一瞬で加算できる回路ができます、とかやっていた。でもですね、そこからコンピュータに結びつかない。フォートランで+とか*とか書くだけで計算してくれて、判断をしながら、正しい順番で計算していく、そんな機械がロジックICの動作だけからでは想像できない。いや、できても不思議はないか、という程度は思うが、実感としてピンとこない。
|