- 関数電卓で軌道計算...
- 高校2年の頃、朝から晩まで無線ばかりやっていた。特に、あまり人がやってないようなことは、かたっぱしからやってみた。アマチュア衛星オスカー6号/7号を使った通信もそのひとつである。これはアップリンク145MHz、ダウンリンク29MHzのトランスポンダを搭載した周回衛星であり、1日に3〜4回、それぞれ5分から15分程度利用できる位置にやってくる。はるか100km以上上空をみかん箱程度のちっぽけな物体が飛んでいて、それに向けて電波を出すと、確かに電波が戻ってくるのである。衛星が近付いてきて、そして離れていく間に、ドップラシフトで周波数が徐々に変わっていく。本で読んだだけの知識が、身近に起こっているのである。高度が何キロだから周期何分、赤道交叉角が何度だから、1周回で経度が何度づつずれていって....今日は何時何分にこの方角に見え始めて、あっちの方に飛んでいく....持っている知識を寄せ集め、足りない分は本を探して計算してみる。んー、確かに計算どおりだ。
- 初めの頃はいろいろ計算してみるのも楽しかった。実際に衛星を使うためには、何日分かの軌道表を作る必要があるが、これは、あまりにも単純で退屈な作業だと感じるようになってくる。紙にマス目を書いて、電卓で計算した数字を次々書き込んでいくだけであるが、数日分を作るだけで1時間はかかるし、指先がコチコチに痛くなってくる。
- と、そんなとき、学校の数学教室にはプログラム電卓なるものがあるという話を聞く。何でも、計算手順を入力してやるとせっせせっせと計算し、結果をレシートのような紙に印字してくれるらしい。これは使えそうだ、と数学の先生に交渉にいくが、「計算機は持ち出し禁止」、「職員室に長時間いてもらっては困る」ということで、追い払われてしまった。
- というような話を無線で愚痴っていると、工業高校に行っているやつが、「だから普通高校はだめだねぇ。うちの学校にはミニコンというのがあって、フォートランの実習までやってるよ」とか言いだす。
- これはいいことを聞いた。フォートランとやらでプログラムを書いて、実習のすきに走らせてもらおうじゃないか。
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